
こんにちは、松井歯科医院院長の松井です。
このたび当院では、「口腔内スキャナー」を導入いたしました。
お口の中をカメラで撮影して、歯の形を立体的に読み取る機器です。これまでのように、粘土のような材料をお口に入れて固める必要がありません。
・型取りのときに、いつもえずいてしまう
・あの独特の味やにおいが、どうしても苦手
・固まるまでの数分間が、とにかく長く感じる
・型取りがうまくいかず、何度もやり直した経験がある
こういうお悩みをお持ちの方は、思っている以上に多くいらっしゃいます。実際、当院に来られる患者さんの中にも「他のことは平気なんですが、型取りだけはどうしても」とおっしゃる方が少なくありません。
今回は、この口腔内スキャナーによる型取り(光学印象)がどういうものなのかを、ご紹介させて頂きます。できることだけでなく、当院ではできないことについてもきちんとお伝えしていきますね。
そもそも、なぜ歯の型取りが必要なのか

被せ物や詰め物を作るときには、まずお口の中の形を正確に記録する必要があります。
歯というのは、一本一本すべて形が違います。噛み合わせも患者さんによってまったく異なります。ですから既製品をはめるというわけにはいかず、その方のお口に合わせて一つずつ作ることになるんですね。
この「形を記録する」作業が、型取り(印象採得)です。
この記録がどれだけ正確かによって、出来上がった被せ物の合い方が変わってきます。地味な工程に見えるかも知れませんが、実は治療の仕上がりを左右する大事なところなんです。
従来の型取りが苦手だった方へ

これまでの型取りは、トレーと呼ばれる器具に印象材(粘土のような材料)を盛って、お口の中に入れ、固まるまで数分間そのまま保持する方法でした。
確実な方法ではあるのですが、患者さんにとってはいくつか負担がありました。
・材料が固まるまで、口を開けたまま待つ必要がある
・材料が喉の奥のほうまで広がってくる感覚がある
・トレーが大きく、お口の中で異物感を覚えやすい
・材料の味やにおいが苦手だという方が多い
・途中でやめることができない
特に大きいのが、最後の「途中でやめられない」という点かと思います。
苦しくなってきても、固まるまでは我慢するしかない。この逃げ場のなさが、型取りへの苦手意識をつくってしまうのだと感じています。
それと、えずいてしまうのは「絞扼反射(こうやくはんしゃ)」という、体を守るための自然な反応です。決して我慢が足りないという話ではありませんので、ご自身を責めないでくださいね。
口腔内スキャナーによる「光学印象」とは

一方、口腔内スキャナーを使った型取りは、まったく違う方法で行います。
ペン型のカメラをお口の中に入れて、歯の表面に沿ってゆっくり動かしていきます。すると、その場でモニターに歯の形が立体的に映し出されていきます。
この方法を「光学印象(こうがくいんしょう)」と言います。
実際の流れは、こんな感じです。
1. お口の中を清掃し、乾燥させます
2. ペン型のカメラをお口に入れ、歯の表面をなぞるように撮影します
3. モニターに歯の形が立体的に表示されていきます
4. 必要な範囲が撮影できたら、終了です
粘土のような材料は、一切使いません。固まるのを待つ時間もありません。
撮影したデータは、そのまま被せ物を作るための設計データとして使われます。
当院が導入した口腔内スキャナーについて

当院で使用しているのは、デンツプライシロナ社の「Primescan(プライムスキャン)」という口腔内スキャナーです。
ここで、大事なことをお伝えしておきます。
当院では、その日のうちに被せ物をお入れすることはできません。
口腔内スキャナーというと、「その日のうちに歯が入る」というイメージをお持ちの方がいらっしゃるかも知れません。たしかに、院内で被せ物の削り出しまで行うシステムを導入している医院では、そうした対応が可能な場合があります。
しかし当院が導入しているのは、型取りを行う機器のみです。被せ物そのものは、技工所で製作いたします。ですから、型取りの日と装着の日で、通院が必要になります。
光学印象にすると、何が変わるのか

では、患者さんにとって具体的に何が変わるのか。順に見ていきます。
|お口の中で材料を固める工程がありません
これが一番大きな違いかと思います。喉の奥まで材料が広がってくる感覚も、独特の味やにおいもありません。
|途中で中断できます
苦しくなったら、その時点でカメラを外していただけます。そして、また続きから再開できます。「固まるまで我慢しなければ」という状況が生まれない。これは苦手意識をお持ちの方にとって、かなり大きいのではないかと思います。
|その場で確認しながら進められます
モニターの映像を見ながら撮影するので、撮り足りない部分があればその場で分かります。従来の型取りでは、模型を作ってみてから不十分だと分かって、もう一度お願いする、ということが起こり得ました。光学印象では、そうしたやり直しが起こりにくくなります。
|データとして保存できます
撮影したデータはコンピューター上に残ります。技工所とのやりとりにも、後日の確認にも活用できます。
なお、口腔内スキャナーによる型取りは従来の方法より患者さんの不快感が少なかった、という研究報告もあります。ただ、感じ方には個人差がありますので、「絶対にえずかない」とお約束できるものではありません。そこは正直にお伝えしておきますね。
「自分の場合はどうなんだろう」と思われた方は、一度ご相談ください。お口の状態を拝見したうえで、どの方法が向いているかお伝えできます。
なお、型取りが苦手な方に向けて、負担を減らすための工夫を別の記事でまとめています。
▶ 歯の型取りが苦しい・えずいてしまう方へ|光学印象という選択肢【内部リンク:A02のURLを設定】
すべての治療で使えるわけではありません

こちらも、正直にお伝えしておきたいところです。
光学印象は、あらゆる治療に使えるというものではありません。
たとえば歯ぐきの中まで深く記録する必要があるとき、出血や唾液が多くてうまく読み取れないとき、お口を大きく開けることが難しいとき。こういった場合は、従来の方法のほうが適していることがあります。治療の内容や使用する材料によっても変わってきます。
光学印象は、一部の自由診療と、保険診療の中のCAD/CAM(キャドカム)という白い詰め物や被せ物には適応できます。
どの方法で進めるかは、お口の状態を拝見したうえでご相談させて頂きます。「必ず光学印象で」ということではありませんので、その点はご了承ください。
保険の被せ物と自費の被せ物では、素材そのものにも違いがあります。詳しくはこちらの記事でご説明しています。
▶ 保険のCAD/CAM冠と自費のジルコニア、何が違うのか|歯科医師が解説【内部リンク:A03のURLを設定】
よくあるご質問
|スキャンにはどのくらい時間がかかりますか?
おおむね5分から10分です。
|その日のうちに歯は入りますか?
いいえ、入りません。当院では技工所で製作いたしますので、型取りの日と装着の日で通院が必要になります。この点は、あらかじめご了承ください。
|保険診療でも使えますか?
光学印象は、一部の自由診療と、保険診療の中のCAD/CAM(キャドカム)という白い詰め物や被せ物には適応できます。詳しくは来院時にご説明させて頂きますので、お気軽にお尋ねください。
|従来の型取りと比べて、精度は変わりますか?
症例によりますが、撮影しながら確認できる分、やり直しが減ることは期待できます。ただ、どちらが優れているというより、状況に応じて適した方法が異なる、というのが正確なところかと思います。
|えずきやすいのですが、伝えても大丈夫ですか?
もちろんです。むしろ、事前に教えていただけると本当に助かります。姿勢や進め方を工夫できますし、合図の決め方も相談できますから。
|相談だけでも構いませんか?
はい、大丈夫です。「まず話を聞いてみたい」というご相談も歓迎しております。
まとめ
今回は、当院が導入した口腔内スキャナーによる型取りについてご紹介させて頂きました。
・粘土のような印象材を使わず、カメラで撮影して型取りを行う方法です
・途中で中断でき、その場で確認しながら進められます
・当院では技工所で製作するため、当日に被せ物をお入れすることはできません
・一部の自由診療と、保険診療のCAD/CAM(キャドカム)という白い詰め物や被せ物に適応できます
・治療内容やお口の状態によっては、従来の方法が適している場合があります
型取りが苦手というだけで、治療そのものをあきらめてしまわれる方がいらっしゃいます。それは、本当にもったいないことだと思うんです。
苦手なことは、どうぞ遠慮なくお伝えください。それを聞かせていただくことが、私たちにとって一番ありがたいことですから。
当院はJR神戸駅から徒歩5分のところにあります。神戸市近郊で歯科医院をお探しの方、型取りに苦手意識をお持ちの方は、一度ご相談してみてくださいね。
自由診療に関するご案内
このページでご紹介している口腔内スキャナーによる光学印象は、一部の自由診療において使用しております。自由診療は公的医療保険が適用されず、費用は全額自己負担となります。
|主なリスク・副作用について
・お口の状態によっては、光学印象での対応ができない場合があります
・撮影中に不快感を覚える場合があります(感じ方には個人差があります)
・被せ物は、噛み合わせや使用状況によって、破損や脱離が起こる場合があります
・治療後に、しみる・違和感があるなどの症状が出る場合があります
・治療の効果や経過には個人差があり、すべての方に同じ結果をお約束するものではありません
|費用について
治療内容やお口の状態によって異なりますので、診察のうえでお見積りをご提示いたします。費用についてのご説明を十分に行い、ご納得いただいてから治療を開始いたします。
ご相談・ご予約
お電話のほか、ページ上部の「WEB予約」からも24時間ご予約いただけます。
・電話番号:078-381-6484
・診療時間:9:00~13:00/14:30~19:00(土曜の午後は14:00〜17:00)
・休診日:木曜・日祝
・アクセス:JR神戸駅より徒歩5分
















